地域をテーマに学問的志向性を育む

滝澤 匡 先生

基幹科目「山形から考える」では地域をテーマに学問的志向性を育むことを目的としています。そこでは、1)自らを取り巻く環境を見つめ、2)内在する課題を発見し、3)課題解決の道筋を策定し、4)改善活動を粘り強く実践する、4つの能力の獲得を目指して、山形を学びのフィールドとする科目を展開しています。

私は、講義と体験を通して地域を学ぶ科目「地域体験スタートアップ」を担当しています。この科目は3部構成です。(1)日本全体及び山形の人口問題の現状と将来的課題を講義により学習します。そこでは異なる学部のメンバーとグループワークも行い、多様な考え方を通じて理解を深めます。その後、人口問題の解決につながる地域の力として、(2)山形の歴史・文化・人物・企業を学習します。ここでは専門の異なる5名の教員が山形の多彩な魅力を様々な角度から紹介します。最後に、講義での学習をふまえて、(3)大学周辺の地域活動に参加し、地域の現状と課題を体験的に学習します。体験は大学周辺の自治会が行う地域清掃や行事運営に参加させていただきます(残念ながら、コロナのため3年間中止)。これにより、地域活動の必要性と楽しみを感じ、地域の将来を担う気概を持ってくれることがねらいです。また、地域の方々との協働を通じて、年齢や背景の異なる人々とのコミュニケーション能力など社会人として必要な能力の向上も期待しています。

これまでに山形県や自身の出身地での就職を希望する学生の割合が高まるなど、地域創生に貢献する成果がみられています。

山形と大学生を学ぶ

理学部 理学科

冨澤 天翔

 山形大学では、1年生のうちに、「山形から考える」という他とは少し違う特別な講義を自身で選んで取ることになっています。私は、なんとなく面白そうだなという漠然とした理由で「地域体験スタートアップ」という講義を選びました。

この講義を選択して最もよかったと感じたことは、山形に関する話を沢山の先生方から聞けたことです。私は宮城県の高校を卒業して山形大学に入学しました。山形は私にとって隣りの県で他県と比べ身近ではあったものの、山形がどのようなところなのか深くは知りませんでした。しかし、この講義を通して、歴史や文化、人物など、山形の特色をそれぞれの専門の先生から聞くことで山形についての理解を深めると同時に、それぞれが風土や特色に寄り添い、地域に根付く力強さを感じることが出来ました。企業に関する講義では、山形がものづくりに強いという話から中小企業の強み・利点など、将来役立つような話を普段聞くことが出来ない視点で聞けたことも貴重な経験だと感じています。食に関する講義では、担当の先生に米沢牛をいただくこともできました。

また、この講義の行い方も、大学生活に慣れるうえでとても良いものになったと感じています。この講義では毎週、先生の授業やグループワークを通して自身の考えや感想をレポートにまとめる課題が課されます。高校生の時にレポートを書くときといえば校外学習の時くらいで、ほとんど機会のない物でしたが、大学になるとこれが当たり前のように課されるようになります。高校までとは一味も二味も違う授業体制に私が早く順応できたのはこの講義のおかげだと思います。

大学らしい・山形大学らしい授業を受けてみたいという新入生はぜひこの講義を選んでほしいです。