分かりやすく伝える

白石 哲也 先生

入学おめでとうございます。さて大学に入学して、みなさんは最初に何をしますか?履修登録?ガイダンス?それとも、クラブやサークルに入りますか?

私は、初日に友人を作りました。そのまま大学近くのお好み焼きを食べながら、会話をした記憶があります。たぶん、みなさんの多くも隣の席に座っている人やサークル、授業、SNSを通じて、同じ山形大学に入学した友人(仲間)を作っていると思います。このとき、はじめて会った人に対して、みなさんはどう声掛けしますか?いきなり、「やあ、今日も元気?」と言いますか?言いませんよね。おそらく「僕(私)は○○と言います」という自己紹介からはじめると思います。それが、友人を作る時の作法(マナー)ですよね。

実は、私たち研究者にも作法があります。論文を書くときに、いきなり分析結果だけを示すことはしません。まず、どうしてこの研究を行うのか(研究目的)を書きます。これは、研究者の自己紹介と言えます。

もちろん、みなさんが入学してすぐに論文を書くことはありません。でも、レポートを書き、プレゼンをする機会はたくさんあります。その時に、きちんとした作法を知らないと、相手には伝わりません。そこには文章やプレゼンの上手・下手は無く、「学問を学ぶ上での作法に則って、相手に伝えるようにしているか」が大切なのです。

スタートアップ・セミナーは、これから大学で学ぶための作法を身に着ける授業です。ここでの作法とは、学問を通じて相手とスムーズな会話をするための「技術」を身に着けるということです。スティーブ・ジョブズのように聴衆を惹きつけるプレゼンや森鴎外のような名文を書くことを目指す必要はありません。むしろ、自分が調べたことを、相手にきちんと伝える「技術」を身に着けて頂きます。

そのためにスタートアップ・セミナーでは、与えられたテーマを適切な方法で調査し、それをもとにディスカッションやプレゼン、レポートを行う機会が多く設けられています。ぜひ、この作法を身に着け、その後の大学での学びを深めていってほしいと願っています。

“大学生”の基礎を身につける

人文社会科学部 人文社会学科 人間文化コース 1年

小林 奈津美

高校までの学習では、教えてくれる先生がいて、先生の指示に従って学習を進めていく形をとっていたかと思いますが、大学ではその形がガラッと変わります。大学では、どんな授業をとるか、どんなテーマで研究するかなど、様々なことを自分で決めて、自分で進めなければなりません。しかし、どんな手順で、どんな方法で学びを進めていくか分からない新入生にとって、「自分で決める」と言われてもイメージは湧きませんし、不安もあるかと思います。そんな新入生の皆さんの学習の支えとなる授業が、これからご紹介する「スタートアップセミナー」です。

皆さんが「大学生の学習と言えば?」と聞かれてほとんどの人がイメージするのが、「レポート」と「プレゼンテーション」で、作るのが難しく、大変だと思っている方が多いと思います。しかし、このスタートアップセミナーでレポートとプレゼンテーションの作成の流れや形式を覚えれば、他の授業でレポートを提出しなければいけない時、プレゼンテーションを作らなければいけない時に、皆さんの大きな助けとなります。実際に、私もレポートやプレゼンを作成するときにスタートアップセミナーで学んだ形式やテンプレートをベースに組み立てるので、限りある時間の中でスムーズに進めることができています。また、情報収集の際に、多くの情報の中から決めたテーマに絶対必要な情報だけを厳選して集めるスキルも身につけられるため、レポートやプレゼン作成以外の場面でも役立ちます。

最後に、このスタートアップセミナーで学ぶことは、大学生活だけではなく、社会人になってからも重宝するスキルばかりです。忙しい中でレポートやプレゼンテーションを作成することは大変かと思いますが、スタートアップセミナーにしっかり取り組み、学んだことを今後の大学生活に是非役立てていってください。