大学で学ぶことの意味

山形大学長

玉手 英利

山形大学への御入学おめでとうございます。みなさんのご入学を心から歓迎します。

これから始まる大学生活は社会人として自立するための重要な時期です。自ら課題を見つけ、探究していくことにより、みなさんの未来はさまざまな可能性が開かれていきます。その基礎として、「基盤共通教育」は大学での学び方を身に着ける大切な機会となります。

コロナ禍のなかで大学での学びを始めるみなさんは、期待とともに不安も多いことかと思います。山形大学では安心して学びが続けられるように、対面授業とオンライン授業を併用して感染防止対策を行っています。耀く未来を楽しみに入学されたみなさんにとって、現状況は思い描いていたものと違ったかもしれませんが、新たな環境のもとで前向きな気持ちで「学び」に取り組んでいただきたいと願っています。

大学の授業は、これまでみなさんが学校で受けてきた授業とは大きく違っています。これまでみなさんが受けてきた授業では、教科ごとに教科書が決まっていて、そこに書かれたことを中心にして勉強を進めていたと思います。対して、大学ではどのような授業を選択するのかは、みなさん自身が考えて決めることになります。また、学習目標や学習内容はそれぞれの学部学科で異なり、教科書を使わない授業もあります。

なぜ、大学ではこのような学び方をするのでしょうか?

大学は新しい知を創り出して、人間社会の閉塞や危機を乗り越える原動力となる創造的組織です。そのために、大学での学びでは、未解決の問題に取り組むことが大切になります。得られる答えは一つとは限りません。そのために、みなさん一人ひとりの個性を大切にして、それぞれの興味や関心を出発点として新たな可能性を広げるために多様な学びの場を提供しています。

いろいろな科目を学べる基盤共通教育をはじめ、大学生活のさまざまな機会に多くの人と出会って、たくさんの新しい経験を積んでください。最初は慣れないこと、不安なこと、悩むことがあるかもしれませんが、そのような時は遠慮なく私たち教職員に相談してください。私たちがみなさんを全力で支えます。山形の地で、山形大学で過ごす日々がみなさんにとって楽しく充実したものになることを心から願っています。