他者を知り、自己を知る

今泉 智子 先生

大学に入ると、人間関係が一気に多様化します。山形大学のキャンパスには、地元山形出身の人、全国各地から来た人、そして世界各国から来た留学生や教員もいます。今年山形に来たばかりの方は、すでにいくつかの「カルチャーショック」を体験しているかもしれません。カルチャーショックというと、留学や海外旅行で体験するものというイメージがあるかもしれませんが、日本国内でも食文化や方言、習慣などの違いはたくさんあります。また、文化の違いだけでなく、授業でのディスカッションや部活・サークル活動の中で、様々な考え方や価値観に出会うでしょう。「ショック」と聞くと、何だか怖いもののようですが、実は自分の成長につながる貴重な経験です。自分とは異なる「当たり前」や、見方、考え方を知ることで、視野が広がり、自分を見つめ直すきっかけになります。

「異なる」ものにぶつかると、それを否定したり、避けたりしてしまいがちですが、大切なのは受け入れることと歩み寄ることだと思います。例えば、新しくできた友達が、豚肉を食べない文化を持っていたとします。だからと言って、自分も今日から豚肉を食べないことにする必要はありません。一方で、相手の文化がよくわからないことで、食事に誘うことを躊躇してしまうかもしれません。そこで、ちょっと勇気を出してその友だちに聞いてみると、思ったより簡単に解決して、一緒に楽しく食事を楽しむことができるかもしれません。一歩踏み出せると、自分の世界が広がっていきます。

他者を知ることは、自己を知ることにもつながります。色々なところへ行き、様々な文化を知るうちに、自分のふるさとの良さを再認識することもあります。また、違いだけでなく、共通性に気づくこともあります。是非、大学生活でたくさんのカルチャーショックを体験して、自分の世界を広げてください!

※写真は2020年に実施した「留学生と日本人学生による山形の魅力体験&発信フィールドトリップ」(中島記念国際交流財団助成日本学生支援機構留学生地域交流事業)の様子。りんごのおいしさは世界共通!