地域を体感し、違いを知り、視野を広げる

吉原 元子 先生

この科目では、山形県の地域経済を支える産業、特に製造業について、データ分析やフィールドワークを通じて学びます。山形県の企業やそこで働く人々の営みを学ぶことで、自分の故郷あるいは日本、世界をみるための視点を養うことが大きな目的です。

自分が過ごしてきた地域のことは知っているようで意外に知らないものです。まず、地域経済分析システム(RESAS)を使って山形県と任意の地域を比較して発表します。たいていは自分の故郷との比較ですが、そこで自分の中のイメージとデータ上の姿の隔たりを認識します。

次にフィールドワークに出かけます。2018年度は山形県尾花沢市を訪問しました。人口は約1万6千人、冬は雪深く、高齢化と人口流出に悩む典型的な「地方」です。RESASで調べた学生は、なぜここで製造業?と思ったようです。訪問したオプテックス工業・最上世紀は、尾花沢に本社を置きながらグローバルに拠点を展開し、自動車産業で活躍する企業です。経営者の先見性、働く人々の熱意、工作機械が動く音やにおいに直接触れて、五感をフル活用して、データから思い浮かべる地域の姿と実際の企業活動の差異を知ります(味覚は尾花沢そばと最上川千本だんご!)。

フィールドワークから戻ると、企業の特徴や課題をグループで検討し、地域産業の展望について発表します。同じ企業に行っても考えることは違うメンバーとの議論から、柔軟な考え方を身に付けます。

このように、この科目は自分の認識と現実とのギャップを何度も往復する中で、多様な視点を学びます。この科目を通じて、より広い視野で物事を見ることの大切さ、学ぶことの楽しさを感じ取ってもらえることを期待しています。

山形「から」考える

理学部 理学科 2年

鈴木 ひかり

私は冬休みの四日間で行う集中講義であり、なんとなく面白そうだなという安直な理由で「山形から考える地域産業」という講義を選びました。

一番この講義を取ってよかったと感じたことは、山形県尾花沢市の二つの企業を見学し、実際に職員の方から話を聞けたことです。私達はオプテックス工業と最上世紀という企業に行きました。オプテックス工業では自動車部品を作る機械、最上世紀ではプラスチック製の自動車部品を主に生産しています。正直、尾花沢市の場所も知りませんでしたし、そのような企業の名前も知らなかったので小さな企業だと思っていました。しかし、その企業についての下調べをしたり、企業の方の話を聞いたりして、どちらも日本全国、さらに世界で活躍していることが分かり驚きました。なぜ尾花沢という小さな市で会社を設立したのかというと、どちらの社長も尾花沢市出身だったからだそうです。今では、地域活性化のために地元の雇用の確保や緑化活動にも力を入れ、地域に貢献しているそうです。

私はこの講義を受けていなければ、地域に根付いた産業のすごさや、どれほど大きな存在であるのかということに気付くことができませんでした。「山形から考える」を通し、私の地域にも目を向けるきっかけになったと思います。

また、この講義では企業の下調べや企業訪問、さらに実際に職員の方の話を聞き疑問点を質問するなど、就職活動では必要となることを体験できたので一年次にこの様なことができるのは本当に貴重だと思います。就職について考えている、あるいは高校まででは体験できなかった講義を受けてみたいという新一年生にはこの講義をとてもお勧めしたいです。