学士課程基盤教育機構設立の趣旨

山形大学の学士課程教育では、自立した一人の人間として力強く生き、他者を理解しともに社会を構成していく力を養う。

そのためには,健全で良識ある市民として生きるための豊かな教養、人生をどう生きるべきかという人間理解、自然環境の中で生き、社会の中で他の多くの人々と一体となって成果を創造していくための共生のこころ、修得した高い専門知識を具体的な事例に適用し判断・行動する能力が必要である。

本学では、初年次の導入段階の教育から目標達成段階の教育に至るまで、明瞭な目的・目標を持った授業科目を、学習の系統性や順次性に配慮して学士課程教育の中に配置する。

基盤共通教育では、学問の実践に必要な基本的能力と健全な批判精神に裏打ちされた幅広い知識、学びを応用していく上で不可欠な豊かな人間力を身につけさせ、大学での学習及び生涯にわたる学習への基盤となる力を養うことによって、社会に参画し運営していく良識ある市民としての力を育むことを目的として行う。

山形大学の教育改革

平成 3年 6月 大学設置基準の大綱化(平成3年7月1日施行)
平成 5年 4月 4年(6年)一貫教育に向けた教育・研究体制を見直し、「教養部における教育改革(平成5年度改革)」を実施
平成 8年 4月 教養教育を開始(教養部等の改革・再編を実施)
平成21年10月 基盤教育院を設置
平成22年 3月 「山形大学基盤教育の基本方針」を承認
平成22年 4月 基盤教育を開始
平成29年 4月 学士課程基盤共通教育・専門教育を開始

山形大学基盤共通教育の基本方針(抜粋)

1 基本理念

(1) 学士課程教育における基盤共通教育の位置付け

山形大学の学士課程教育では、自立した一人の人間として力強く生き、他者を理解しともに社会を構成していく力を養う。

そのためには,健全で良識ある市民として生きるための豊かな教養、人生をどう生きるべきかという人間理解、自然環境の中で生き、社会の中で他の多くの人々と一体となって成果を創造していくための共生のこころ、修得した高い専門知識を具体的な事例に適用し判断・行動する能力が必要である。

本学では、初年次の導入段階の教育から目標達成段階の教育に至るまで、明瞭な目的・目標を持った授業科目を、学習の系統性や順次性に配慮して学士課程教育の中に配置する。

基盤共通教育では、学問の実践に必要な基本的能力と健全な批判精神に裏打ちされた幅広い知識、学びを応用していく上で不可欠な豊かな人間力を身につけさせ、大学での学習及び生涯にわたる学習への基盤となる力を養うことによって、社会に参画し運営していく良識ある市民としての力を育むことを目的として行う。

(2) 基盤共通教育の基本方針

山形大学学士課程基盤教育機構では「地域創生」「次世代形成」「多文化共生」の3つの使命と「創造性および豊かな人間性を有する人材を育成する」という教育の基本理念に基づき、新時代に相応しい人間力を養い、知・徳・体の調和を取れた人材を社会に輩出することを目指している。

この目標を実現するため、学士課程基盤教育・基盤共通教育実施においては、

  • 豊かな人間性と社会性
  • 幅広い教養と汎用的技能
  • 専門分野で学ぶための基礎的知識と技能
  • を身につけ,地球的視野に立って地域の持続的な発展に寄与することができる人材の育成に取り組む。

    (3) 教育課程の編成・実施方針

    基盤共通教育では、山形大学の学位授与の方針(ディプロマ・ポリシー)に掲げる知識・技能・態度を身につけさせるため、「導入科目」「基幹科目」「教養科目」「共通科目」を中心に体系的な教育課程を編成し、講義、演習、実習等を適切に組み合せた授業を開講するとともに、成績評価基準に基づき厳格な評価を行う。

    1. 「導入科目」は、大学教育や大学生活への円滑な接続を図り、自立して学ぶ姿勢を身につけさせるものである。課題の探求などのおもしろさを実感させながら、大学での学習技能や生活技能を育てるもので、必修科目である「スタートアップセミナー」及び「学部導入セミナー」の授業が開講される。
    2. 「基幹科目」は必修(選択必修)とし、本学が教育上重視する「共生」・「人間」・「山形」をテーマに掲げ、その問題を考えることを通して、学問への問題意識の育成や動機付けを図るものであり、大学での学問的志向性を育成するものである。
    3. 「教養科目」は、学問の多様性を経験させ、知識の幅を広げさせることを目的とする。
    4. 「共通科目」は,学問の実践に役立つ知識や能力、あるいはそれを根底で支える健康な体力を身につけさせること、また、将来のキャリアについて考え、人生を強く豊かに生きていくための「人間力」を高めることを目的とする。
    5. 「探究科目」は、研究室インターンシップ等高度な学びにより専門教育への興味や理解を深めることを目的とする。
    6. 「補習科目」は、入学時の学力に応じ、必要とされる基礎的な教育を行い、学力の向上を図ることを目的とする。

    2 運営・実施体制

    (1) 運営体制

    1. 学士課程基盤教育機構の下に、基盤共通教育の運営・実施の中心的な業務を担う組織として共通教育実施部を置く。
    2. 共通教育実施部に基盤共通教育の各科目区分に対応した部門を置き、それぞれに部門長を配置する。
    3. 共通教育実施部の各部門に、授業科目・領域に対応するマネージャーを配置する。
    4. マネージャーは、各科目・領域の授業の確保、共通認識の醸成等の取りまとめに当たり、当該科目・領域を統括する。
    5. 基盤共通教育の実施計画の立案、その他基盤共通教育の実施に関わる事項を審議するため基盤共通教育実施部会議(以下「実施部会議」という。)を置く。

    (2) 全学協力体制

    1. 基盤共通教育は、共通教育実施部が運営し、全学協力体制で実施する。
    2. 各部局は,「山形大学基盤教育の安定的実施に関する申合せ」に基づき,責任を持って相応の協力を行うものとする。

    (3) 開講コマ数及び担当教員

    基盤共通教育の開講コマ数の調整、授業担当者の選定、授業時間割の編成、シラバスの作成等については、実施部会議で審議し、学士課程基盤教育機構運営会議で決定する。

    (4) 教育の質の保証について

    1. 基盤共通教育の授業担当者は、本学のFD活動に積極的に参加するものとする。
    2. 理念・目的の共有化、成績評価の適正化を図ることを目的に、各科目区分・領域ごとのFDを積極的に行う。

    3 成績評価・単位

    (1) 単位の認定・授与

    1. 基盤共通教育の授業科目は、セメスター制又はクォーター制により各学期ごとに完結する。
    2. 履修した授業科目の成績の審査は、その学期ごとに各授業担当教員が学修状況、試験の成績等によって行い、審査に合格した者には、所定の単位を与える。

    (2) 単位数の計算方法

    基盤共通教育における授業科目の単位の計算方法は、1単位の授業科目を45時間の学修を必要とする内容をもって構成することを標準とし、授業の方法に応じ、教育効果、授業時間外に必要な学修等を考慮して、次の基準によるものとする。

    1. 講義については、15時間の授業をもって1単位とする。
    2. 演習については、15時間の授業をもって1単位とする。ただし、コミュニケーション・スキルは30時間の授業をもって1単位とする。
    3. 実験、実習及び実技については、30時間の授業をもって1単位とする。

    (3) 成績の審査

    1. 成績の審査は100点満点とし、次の5段階で行う。
      S:100~90点、A:89~80点、B:79~70点、C:69~60点、F:59~0点
    2. 成績評価に関し、学生が授業担当教員に問い合せても納得がいかない場合は、学生センターを通じて質問票を提出することができる。なお、提出された質問票は次のように取扱う。
      • 共通教育実施部会議議長が、授業担当者に質問内容に基づき確認する。
      • 次に、授業担当者に確認した内容を、共通教育実施部会議議長名で学生に回答する。

    4 教育課程

    基盤共通教育の履修方法については、「基盤共通教育履修規程」として別に定め、その制定及び改廃等は共通教育実施部会議が行う。

    (1) 実施方針

    1. 基盤共通教育は、工学部フレックスコースを除き、原則として、入学当初の1年間に小白川キャンパスで共通のカリキュラムにより実施する。ただし、医・工・農学部で進級できなかった者の基盤共通教育は、小白川キャンパスで行う。
    2. 基盤共通教育の必要単位数及び必修科目の単位数は、各学部の定めるところによる。
    3. 基盤共通教育1年間の未履修者の取扱いは、各学部の定めるところによる。
    4. 2年次への進級条件は、各学部の定めるところによる。 

    (2) 履修方法

    1. 各学部は、基盤共通教育の基本理念の趣旨を十分踏まえつつ、それぞれの学士課程教育の理念・目的に沿って基盤共通教育の履修方法を定めるものとする。
    2. 各科目区分及び領域ごとの修得単位数は各学部が定め、それぞれの履修要項等に明記する。
    3. 基盤共通教育に関し、各学部で定める卒業要件単位数を超えて修得した単位については、自由科目等、一定の枠内で卒業要件に位置付けるものとする。
    4. 基盤共通教育の授業科目は、科目区分または領域ごとに共通教育実施部会議で設定し、学士課程基盤教育機構運営会議に報告するものとする。

    (3) 開講科目

    1) 導入科目
    1. 導入科目は、「スタートアップセミナー」及び「学部導入セミナー」を開講し、「スタートアップセミナー」2単位を必修とする。
    2. 「学部導入セミナー」は,分野名と学部・学科名等を併記して表示する。
      (例)「学部導入セミナー(医学部・医学科)」
    3. 共通教育実施部は、スタートアップセミナーの教材として、共通テキストを作成する。
    2) 基幹科目
    1. 基幹科目は、「人間を考える・共生を考える」及び「山形から考える」の2領域とし、それぞれ1科目2単位、計4単位の選択必修とする。
    2. 基幹科目の授業名は、授業テーマと分野名を併記して表示する。
      (例)『「◯ ◯ ◯ ◯」(× × ×)』
      ・『 』…授業名 ・「 」…授業テーマ ・( )…分野名
    3) 教養科目
    1. 教養科目は、「文化と社会」「自然と科学」「応用と学際」の3領域とする。
    2. 各領域に亘り幅広く履修するよう、領域ごとの履修方法及び修得単位数は各学部が定める。
    3. 教養科目の授業名は、授業テーマと分野名を併記して表示する。
      (例)『「◯ ◯ ◯ ◯」(× × ×)』
      ・『 』…授業名 ・「 」…授業テーマ ・( )…分野名
    4) 共通科目
    ア) コミュニケーション・スキル
    1. コミュニケーション・スキルは、「コミュニケーション・スキル1(英語)」4単位と、「コミュニケーション・スキル2(初修外国語)」の2領域とする。
    2. コミュニケーション・スキルの領域ごとの履修方法及び修得単位数は各学部が定める。
    3. 「コミュニケーション・スキル2」のドイツ語、フランス語、ロシア語、中国語及び韓国語のいずれか一つの外国語については、4単位まで修得できるものとする。なお、2年次以降における継続的な学習への意欲を高めるため、それぞれの初修外国語(当面の間は韓国語を除く)の発展コースを開講する。
    4. 外国人留学生のために「日本語」を開講し、8単位までの履修を認める。修得した単位は、教養科目又はコミュニケーション・スキルの単位に振り替えることができる。
    イ) 情報科学
    1. 情報科学は2単位とし、必修・選択の別は各学部が定める。
    2. 情報科学は、原則として全員が履修するものとする。
    ウ) 健康・スポーツ
    1. 健康・スポーツは、「スポーツ実技」「健康・スポーツ科学」「スポーツセミナー」の3区分とし、必修・選択の別及び修得単位数は各学部が定める。
    2. 健康・スポーツは、原則として全員が履修するものとする。
    エ) サイエンス・スキル
    1. サイエンス・スキルは、理系の専門教育を学ぶ上で特に必要と思われる内容について、各学部(各学科)の意向を踏まえて開設するものとし、履修方法は各学部が定める。
    2. サイエンス・スキルの開設科目は、共通教育実施部会議で設定し、学士課程基盤教育機構運営会議に報告する。
    3. サイエンス・スキルは、当該学部(学科)の希望に応じ、クラス指定を行うことを可能とする。
    4. サイエンス・スキルは、当該学部(学科)の収容人数に余裕がある場合には、当該学部以外の学部(学科)の学生についても履修を認める。
    5) 探求科目
    1. 探求科目は,各学部の定める教育内容により,各学部等の教員が実施する。
    6) 補習科目
    1. 補習科目は、各学部からの依頼により、山形大学学士課程基盤教育機構教育企画部が企画し,実施する。

    (4) 受講・履修の制限

    1. 同一授業科目(例えば、「哲学」「物理学」等)内の履修については、履修制限を設ける。
    2. 演習・実験・実習及び実技以外の授業(講義形式)は、教室の収容定員等やむを得ない理由のない限り、受講者の制限を行うことはできない。ただし、基盤共通教育実施部が特定の科目について、教育効果の観点から受講定員等を定めた場合は、この限りではない。
    3. 学生に適切な履修登録を行わせるため、履修登録後の一定時期(前期:4月、後期:10月)に、履修の取消を認めるものとする。なお、履修の取消をしない履修放棄科目はFとする。
    4. 各領域ごとの履修方法は、各学部が定める。

    (5) 開講形態の工夫等

    1. 学生の能動的学習を促進するため、学生主体型授業、フィールドワーク、ディベート等のアクティブ・ラーニング型授業を、積極的に取り入れる。
    2. 教育効果の向上のため、授業支援システム(LMS)及び遠隔講義システム等を積極的に活用した授業方法の改善を図る。
    3. 学生の選択の幅が拡大するように授業の開講形態を工夫するとともに、他大学等との協定に基づく単位互換制度を積極的に活用する。
    4. 大学以外の教育施設等における学修の成果についても、単位認定する等積極的に活用する。
    5. 各学部が開講する専門教育科目の一部を、実施部会議の了承を得て、教養科目として他学部学生に受講させることができる。この場合は、各学部の担当コマ数の枠外とする。
    6. 多様な授業を提供するため、学外者による講義の開講を積極的に導入する。

    (6) 教育職員免許法への対応

    教育職員免許法施行規則第66条の6で規程される文部科学省令で定める科目の修得については、基盤教育で次のように対応する。

    1. 日本国憲法2単位:教養科目「文化と社会」領域の「日本国憲法」を修得
    2. 体育2単位:共通科目「健康・スポーツ」の科目を修得
    3. 外国語コミュニケーション2単位:共通科目「コミュニケーション・スキル1」の「英語(コミュニカティブ英語)」を修得
    4. 情報機器の操作2単位:「情報科学」を修得

    (7) 1年次開講の専門科目

    3年一貫学士課程基盤教育の趣旨に鑑み、各学部は1年次の専門教育科目の開講について、各学部(各学科)において基盤専門教育の系統性に配慮し積極的に対応するものとする。ただし、特別な事情がある場合には、共通教育実施部会議で調整を図る。

    (8) 1年次開講の補習教育

    1. 補習教育は、高校で学んだ不十分な知識を補完するものであり、基盤共通教育の正規のカリキュラムの枠外で開講され、単位として認定しない。
    2. 補習教育は必要に応じて各学部の責任で行い、1年次専門教育科目開講コマ数の枠外で行うものとする。