一人前になるための第一歩。『フィールドラーニング共生の森もがみ』

阿部 宇洋 先生

本講義は平成17年(2005)年に始まり、20年間地域と共に歩んできました。その授業の形や評価も時代にあわせ変化させ、学生主体型となるような講義になっています。

本講義の特徴は、1泊2日を2回、山形県北部の最上地域を訪れ地域の方と共に地域を学び、山形県の課題や現状を知るきっかけを得る事にあります。

高校生までとは違い、スケジュール管理や、一緒に学ぶ班のチームマネジメント、課題発見、探求の自主性など様々な面で個人の能力に依存しながら講義が進んでゆくと思います。

このような地域体験やフィールドでの経験、共同作業を通した講義には、教員側が望む大学教育的な目的と、人間形成の上で必要な経験をすることができる場、人間関係の構築練習の場としての目的があります。

みなさんには、個性があります。ポジティブな個性もありますが、ネガティブと捉えられがちな個性もあります。例えば、コミュ障といわれる、コミュニケーションをとるのが苦手な人。カリスマ型リーダーシップをとるのが得意で「俺についてこい」と勝手な判断をしてミスリードをしてしまうような人。みんな同意したからという理由で社会的なルールを破ることが平気な人。社会に出ると否応なしに、さまざまな個性と向き合わなければなりません。

大学1年生も同様です。様々な思想、思考、態度、年齢の人とつきあわなければなりません。逃げることも出来ますが、決まった期間、決まったプロジェクトではその個性を嫌でも認めながら、自分を殺して物事を進めなければならないとき、他者に併せて進めるとき、自分がリーダーシップを発揮しなければならなくなるときがあります。

そんな人間関係を体験したり、理不尽なやり取りを経験したり、人間関係で失敗したりできる講義でもあります。

作家で天台宗の僧であった瀬戸内寂聴さんは「人間は一人では生きていけません。必ず誰かの世話になり、他人を傷つけながら生きていくのです。それが人生です。」と記しています。

ここまで読んでもらうと、なんとネガティブな講義なんだと思った方もいらっしゃるかと思いますが、どんな体験も、経験も積んでいかなければ一人前になってはいきません。

本講義で人間関係の構築を学んだ学生の中には、卒業後も、この講義の仲間と繋がりをもっている学生もいました。

そんな濃厚な体験ができる講義がこの『フィールドラーニング共生の森もがみ』です。

本やAIが提示する実態の伴わない情報など、情報が氾濫する中で、これからの未来は実際に経験したことが求められる社会になるでしょう。半人前から一人前へ一歩踏み出す、その第一歩をこの講義からはじめて見ませんか?

地域を知るから関わるへ

農学部

佐藤 凛々

『フィールドラーニング-共生の森もがみ』の授業は山形県の最上地域に訪れ、フィールドワークを経て様々な地域の現状を学ぶことが出来る授業です。私は山形県新庄市出身でより自分の地元地域についてより深く知りたいと考え、さらに魅力を発見したいという思いからこの授業を選択しました。

この授業は様々なプログラムから選択することができ、私が選んだのは「お土産開発! 金山産落花生PRプロジェクト」というプログラムでした。私は食品開発に興味をもっており、金山町の特産品を活用した商品開発に携われる点に魅力を感じました。

授業では仲間とともに金山町を訪れ、地域の食材を使ったお土産開発を行うと同時に、地域の方々との交流を通して金山町の魅力に触れました。自分の地元と同じなまりを耳にし、少し懐かしさを感じたことも印象に残っています。実際のお土産開発では、金山町の現状や課題について考え、「今、何が必要とされているのか」を考えました。その中で、県内における金山町の認知度について特に着目し、金山町の特産品の落花生を利用したラー油の開発を行いました。そして、試食のイベントを開催し、多くの人に味わってもらいました。

講義終了後も、金山町を多くの人に知ってもらい、金山産落花生を食べて貰いたいという思いから「学生チャレンジプロジェクト」という制度を利用し、商品化に向けて活動しています。

この授業を受講しなければ、実際に過疎地域を訪れ、その現状について深く考える機会はなかなか得られないと思います。大学1年次のうちに地域のさまざまな課題や魅力を知ることで、自分の視野を広げることができました。みなさんもぜひ履修してみてください。

最上地域から学ぶ

農学部

長野 みなみ

『フィールドラーニング-共生の森もがみ』は基盤共通教育基幹科目「山形から考える」の講義です。

山形県最上地域の8つの市町村で行われるプログラムのうち、1つを選択し1泊2日のフィールドラーニングを2度行います。その後、自分たちが実際に最上地域を訪れたことで見つけた課題とその解決策をまとめ、活動報告会で発表します。

私は8つのプログラムのうち「お土産開発!金山産落花生PRプロジェクト!(金山町)」というプログラムを履修しました。このプログラムでは落花生の種植えや町のイベント運営の補助など地域の方との交流を通じて、地域の方の町への想いや地域の魅力を発信する、知名度を上げるとは、どの範囲で何をもって達成にするのかという指標の難しさを感じました。

私はこの講義を履修したのは、食品開発の仕事に興味があったこと、県外から進学したため山形県についてもっと知りたいと考えたからです。実際に最上地域を訪れ、体験するという経験は中々できないことだと思います。大学側から与えられたことではなく、地域の方が考えてくださったプログラムで自分たちに何ができるか、地域の外から来たからこそ感じられたことをどう生かせるかを考え、それを実行できる環境があることがこの講義の魅力だと思います。

新入生の皆さん、山形大学には自分の興味、関心を広げられる講義がたくさんあります。その中でも自然や地域との連携の中で行われる講義は、楽しさだけでない、多くの学びが得られるとても良い経験になると思います。ぜひ、『フィールドラーニング-共生の森もがみ』を履修してみてください。