変革の時代を生き抜く人間的基盤の構築

学士課程基盤教育院長

飯島 隆広

大学という場は,高等学校までの学習段階とは異なり,各学問分野の最前線で学術研究が行われる現場そのものです。本学の基盤共通教育は,学生が研究の現場に参画し,専門知を社会へと接続するための重要な第一歩として位置づけられています。小白川キャンパスを中心に,学ぶ拠点や学部の垣根を越えて展開されるこの教育が,全学生にとって共通の学びの基点となります。

現在,私たちが直面する社会は,AI技術の飛躍的進展により,既存の職業観や社会構造が根底から揺らぐ変革の只中にあります。高度な専門領域さえもが技術に代替され得る不確実な時代において,真に求められるのは単なる知識の蓄積ではありません。複雑な事象の中で自ら課題を設定する力,倫理に基づく公正な判断力,自らの行動に責任を引き受ける覚悟,そして異なる背景を持つ他者と対話し,協調して最適解を導き出す力。これこそが,本学が育成を掲げる「豊かな人間力」の中核をなすものです。

本学の基盤共通教育は,各学部の専門教育において追求される物事を深く究める探究力に対し,多角的な視野や論理的思考,高度なコミュニケーション能力などを提供しています。これらが互いに補完し合うことで,専門的な知識を社会の実践へと結びつけるための,しなやかで揺るぎない思考の枠組みが形成されます。地域社会への理解を深める学びから,サイエンス・スキル,情報科学,キャリア形成に至る多様なプログラムは,将来,地域や国際社会を牽引するリーダーとしての確かな礎となるものです。

激動する社会において,既存の価値観に安住することは後退に等しいといえます。学問の入り口において未知の知見に触れ,自らの常識を揺さぶられる経験こそが,自己変革の原動力となります。そして,主体的な学びを通じて自らを絶えず更新し続ける姿勢が,不確実な未来を生き抜くための,強靭な人間力の源泉となります。我々教職員一同,学生一人ひとりの挑戦を尊重し,その歩みを全力で支援してまいります。